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【高尿酸血症のトリセツ】#7 心不全がある時の治療方針

心不全患者さんにしばしば尿酸値の上昇を認める。まずはライフスタイルの見直しを行います。尿酸値があがるような食事を控えます。
次に、尿酸値が高くなりやすい薬剤の使用について検討します。心不全があると体に水が溜まる状態(うっ血)になることがあります。うっ血を治療したり予防するために利尿剤(体から水分を出す薬)が使用されます。利尿剤は尿酸値を上昇させます。
また、慢性心不全で頻繁に使用されるβ遮断薬も軽度尿酸値を上げる作用があります。
利尿剤もβ遮断薬も尿酸への作用を考慮される前に、心不全の改善が優先されます。注意をしていても尿酸値が上昇した場合は、尿酸値を下げる薬が使用されます。その他の心不全薬は尿酸に対する影響はありません(逆にロサルタンというARBは尿酸値を下げます)。
高尿酸血症の治療指針では、心不全が合併してる場合に薬物治療を開始する基準は尿酸値 8 mg/dL以上です。
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薬物治療
心不全を合併した高尿酸血症の治療には、尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬が使用されます。尿酸生成抑制薬には心不全に対して有効とする報告があるが、予後を改善する効果は示されていません。
どちらの薬も高尿酸血症の治療であり、心不全の改善目的では使用されません。
『高尿酸血症のトリセツ』シリーズ
基礎&治療 編
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