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心房細動による心不全リスク

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心房細動の患者さんは心臓が原因で亡くなることが多い

心房細動患者さんの死因を調べた報告によると、心疾患が原因となって亡くなる方が最も多いことがわかりました。

心房細動の患者さんが亡くなる原因の1位は心疾患とされています。心房細動そのもので命を落とすというよりも、心臓の機能を低下させることで生命を縮めるリスクになる可能性があります。

心不全はまだ症状が出てはいないが、こっそりと進行していることがあります。心房細動と言われたら、一度は心臓の働きを評価してもらいましょう。

【心臓の状態を確認する検査】

  • 問診
  • 心エコー検査
  • 胸部エックス線撮影
  • 血液検査(BNP、NT-proBNP)
  • CT
  • 心臓MRI

心房細動と心不全の深い関係

心房細動と心不全は深く関係しています。心房細動により心臓のポンプとしての機能が低下することもあれば、もともと心臓の病気がある方は心房細動が起きやすくなります。

心房細動が心不全を引き起こす

心房細動(AF)が持続すると、心臓のポンプ機能が低下し、十分な血液を全身に送り出せなくなります。その結果、以下のようなメカニズムで心不全が引き起こされます。

  • 心拍の不規則性と頻脈
    心房細動では心拍が不規則になり、心室の収縮効率が悪化します。特に頻脈(心拍数が速い状態)が続くと、心臓の負担が増し、収縮機能が低下して心不全を招きます(頻脈誘発性心筋症)。
  • 心房収縮の消失
    通常、心房が収縮することで心室に効率よく血液を送り込む「心房収縮(心房キック)」が発生します。しかし、心房細動ではこの機能が失われるため、心拍出量(心臓が全身に送り出す血液の量)が低下し、心不全が悪化します。
  • 血流うっ滞による肺うっ血
    左心機能が低下すると、肺からの血液がうまく流れずに肺にうっ血が生じ、息切れや呼吸困難の原因になります。

心不全が心房細動を悪化させる

逆に、心不全があると心房が拡大し、心房細動が発生・持続しやすくなります。心不全に伴う高血圧や弁膜症の影響で心房負荷が増し、電気的リモデリング(心房の電気的特性の変化)が進むと、心房細動が慢性化しやすくなります。

心房細動と心不全が合併した場合の治療

心房細動と心不全は互いに悪影響を及ぼし合う「悪循環」の関係にあります。そのため、心房細動を適切にコントロールすることが、心不全の進行を防ぐ上で重要です。

心拍数の管理(レートコントロール)、洞調律維持(リズムコントロール)、抗凝固療法による血栓予防が、治療の柱となります。

最近では、明らかに心房細動が心不全を引き起こしている場合は、積極的にリズムコントロール、特にアブレーション治療が進められます。

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