◻︎
心房細動の症状によるQOL低下

心房細動による症状で苦しむことがある
心房細動は命に関わる症状がないことも多いですが、日常生活にさまざまな影響を与え、QOL(生活の質)を大きく低下させることがあります。
その主な要因は以下のとおりです。
心房細動の主な症状
心房細動の代表的な症状は、動悸、息切れ・疲れやすい、めまいです。
- 動悸
動悸 心臓の拍動が速くなったり、不規則になることで心臓の鼓動を感じることを動悸と言います。脈拍が速いと、症状が強くなる傾向にあります。
動悸が強すぎて、痛みを自覚する方もいます。
- 息切れ・疲れやすい
息切れ 心房細動により心臓のポンプとしての効率が落ちることがあります。体が必要とする血液が期待通りに送り出されず、疲れやすかったり息が上がったりします。
心不全の症状の一部である可能性があります。心不全になると、体のむくみや体重増加、強い倦怠感や安静時の息切れを自覚するようになります。
- めまい
めまい 心房細動により非常に脈拍が速くなったり、逆に急に遅くなったりすることで十分な血液が送り出されなくなると、脳に十分な酸素が供給できずに目の前がくらくなったり、ふらっと感じたりします。
場合によっては、失神(一時的に意識がなくなって倒れる)することもあります。
症状の強さはひとそれぞれ
心房細動の自覚症状は人によって感じ方が違います。
症状が強くて救急車で病院に運ばれる方もいますし、少しは気になるが日常生活に支障はないと感じている方もいます。一方で全く自覚症状のない方もいます。
心房細動全体の4割程度は自覚症状がないと言われています。
症状の強さを(modified)EHRAスコアで表現することが一般的です。
modified EHRAスコア
スコア | 症状 | 説明 |
---|---|---|
1 | 症状なし | |
2a | 軽症 | 症状はあるものの日常生活に支障はなく、症状は気にならない |
2b | 中等症 | 症状があり、日常生活に支障はないものの、気になり困っている |
3 | 重症 | 症状が強く、日常生活に支障を来している |
4 | 強い障害 | 症状が非常に強く、日常生活が続けられない |
心房細動による自覚症状があり困っている状況では、積極的に心房細動に対する治療が勧められます。症状の緩和が期待されます。
自覚症状の有無や強さの違いは脳梗塞とは無関係です。自覚症状がない方は、知らない間に心房細動となり突然脳梗塞を発症してしまうかもしれません。
QOL低下がある場合の治療
心房細動は、身体的・精神的な面でQOLを低下させる要因となります。
症状のコントロールだけでなく、生活習慣の見直しやストレス管理も重要です。適切な治療を受けることで、多くの患者さんが日常生活を快適に過ごせるようになります。
症状のコントロールは、心拍数の管理(レートコントロール)、洞調律維持(リズムコントロール)が行われます。
特に心房細動による症状でQOLが低下している場合は、積極的にリズムコントロール、特にアブレーション治療が進められます。