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帯状疱疹とは

帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV: Varicella-Zoster Virus)によって引き起こされる感染症です。
主に痛みを伴う皮膚の発疹、神経の走行に沿って帯状に出現することが名前の由来になります。
帯状疱疹の症状
帯状疱疹の次のような順番で症状が出現することが多いです。
皮膚に発疹が出る前に、痛み、しびれ、かゆみなどを感じることがあります。その数日〜1週間後に発疹が現れ、前駆症状といいます。ただし、症状の性状や現れ方はいろいろです。

前駆症状から数日後に、帯状に赤い発疹が出現します。発疹は次第に小さな水疱となります。水疱は1週間程度で破れ、かさぶたができることが多いdす。
発疹や前駆症状は通常は体の片側に見られますが、ひどい場合は両側に見られることもありようです。
発心で出やすい場所は、胸や背中、お腹、顔、頭皮などです。
皮膚の症状は3週間程度で治ることが一般的です。
帯状疱疹が治った後に神経痛の症状が続くことがあります。「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれます。「焼けるように痛い」や「すこし触っただけでも痛い」といった症状があります。
帯状疱疹後神経痛は、特に高齢者に見られることが多く、痛みは数ヶ月から数年続くことがあります。
帯状疱疹は、かつて水痘(水ぼうそう)に感染したことのある人に発症します。
水痘が治った後も、ウイルスは体内の神経節に潜伏しており、免疫力が低下したときに再活性化することがあります。この再活性化によって帯状疱疹が発症します。
発症リスクを高める要因
- 加齢:特に50歳以上でリスクが高まります
- 免疫力の低下:ストレス、病気、免疫抑制薬の使用など
- がんやHIVなどの疾患
帯状疱疹の合併症
帯状疱疹は通常は完治しますが、以下のような合併症が発生することがあります。
- 帯状疱疹後神経痛:皮膚症状が治った後に残る神経痛の症状です。特に高齢者で発生リスクが高いです。
- 眼帯状疱疹:鼻や目の周りに帯状疱疹が発症すると、角膜やブドウ膜に炎症が及ぶことがあり視力低下や失明を引き起こす可能性があります。
- ラムゼイ・ハント症候群:帯状疱疹のウイルスによる神経炎で、顔面神経麻痺と耳鳴り・めまい・難聴といった耳の症状が合併した状態。ジャスティン・ビーバー、葉加瀬太郎が罹患したことで有名。
- 二次感染: 破れた水疱に細菌が感染すると、二次性の皮膚感染症を引き起こすことがあります。
帯状疱疹の治療法
帯状疱疹の治療の目的は、ウイルスの進行を抑え、痛みを軽減することです。できるだけ早期に治療を開始することが重要です。帯状疱疹を疑ったら、皮膚科に相談しましょう。
急性期の治療
帯状疱疹になったらすぐの時は、ウイルスの増殖を抑える薬(抗ウイルス薬)と痛み対する鎮痛薬が使用されます。また、皮膚の状態によってウイルスを抑える軟膏や細菌を抑える軟膏が使用されます。
- 抗ウイルス薬: 発疹が現れてから72時間以内に服用することで、症状の重症化や帯状疱疹後神経痛のリスクを減らすことができると言われています
- 痛み止め: 痛みを軽減するために使用されます。痛みがひどい場合はペインクリニックにて神経ブロックといった治療が行われることもあります。
- ステロイド: 重症例ではステロイドが処方されることがありますが、専門施設で注意して使用されます。
帯状疱疹後神経痛の治療
帯状疱疹後神経痛は痛みが強く、長期間に及ぶこともあるため患者さんはストレスを感じます。帯状疱疹後神経痛は、通常の鎮痛薬では効果が不十分なこともあり神経痛に効く薬が使用されます。
使用される薬剤
- プレガバリン
- 三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、ノルトリプチリン)
- オピオイド
日本ペインクリニック学会「神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版」参照
三環系抗うつ薬は副作用もあり高齢者には注意して使用される。
帯状疱疹を予防しよう!
帯状疱疹は早めの治療も大切ですが、何よりも「予防」が重要です。
現在は 帯状疱疹ワクチン によって、発症や重症化を防ぐことができるようになっています。
詳しくは「帯状疱疹ワクチンについて」のページで、効果や接種の対象、注意点をわかりやすく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
