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【高血圧のトリセツ】#7 尿ナトカリ比で塩分チェック

この項は、日本高血圧学会 尿ナトリウム/カリウム比(尿ナトカリ比)ワーキンググループによるコンセンサスステートメント(2024年10月)を参考にしています。
尿ナトカリ比とは?
尿の中に排泄されたナトリウム濃度とカリウム濃度の比をとったものが尿ナトリウム/カリウム比(尿ナトカリ比)です。

腎臓で作られる「尿」にはいろいろな物質が含まれます。その中でナトリウムとカリウムの濃度を測定し比較した値です。
ナトリウムやカリウムは食事などから摂取されますが、その摂取量に応じて尿中にも排出されます。
高血圧と関連するナトリウムを多く摂取すると尿中のナトリウム濃度が上がります。一方で血圧を下げる効果が期待されるカリウムを多く摂取すると尿中のカリウム濃度が上がります。
尿中のナトリウム濃度とカリウム濃度の比を見ることで食事から摂取されるナトリウムとカリウムのバランスを知ることができます。
尿ナトカリ比は4未満に(できれば2未満!)
ナトリウム(塩分)取りすぎとカリウム(野菜や果物)不足はそれぞれ血圧上昇と関係しています。さらに尿中ナトカリ比が高い方は血圧の値が高いこともわかっています。
尿中ナトカリ比をみることで、血圧が高くなるような食事(塩分多くて野菜不足)かどうかを知ることができます。
尿ナトカリ比はナトリウムとカリウムのバランスを考慮し、2未満が目指すべき目標とされました。しかし、現在の日本人の食生活を考慮し実現可能な目標として4未満が提唱されています。
少なくとも尿ナトカリ比は4未満になるように、塩分(ナトリウム)が少なく、カリウム(野菜・果物)が多い、健康的な食生活を心がけましょう。
高血圧だけじゃない
塩分の取りすぎが問題となる病気は高血圧だけではありません。尿ナトカリ比を確認し、食事内容を見直すことは心不全や腎不全の予防にもつながる可能性があります。
尿ナトカリ比の注意事項
尿ナトカリ比を測定し、結果を判断する際に注意事項があります。
尿中に排出されるナトリウム濃度やカリウム濃度は、体調や直近の食事に左右されます。そのため、いつも同じ値がでるわけではありません。
正確に知るためには一日中尿をためて、ためた尿の濃度を測る必要があります。通常は難しいため、今回のコンセンサスでは、週に4日以上、無作為に異なる時間帯に採取された尿から平均値を算出することが勧められています。

『高血圧のトリセツ』シリーズ
基礎 編
治療 編
生活 編
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