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【高尿酸血症のトリセツ】#4 腎機能が悪い時の治療方針

慢性腎臓病になると高尿酸血症を合併することが多くなります。
高尿酸血症の治療指針では、腎障害が合併してる場合に薬物治療を開始する基準は尿酸値 8 mg/dL以上です。
薬物治療
腎機能が低下している場合、尿酸を尿へ排泄させる尿酸排泄促進薬が避けられます。
腎障害合併では尿酸排泄促進薬を避ける理由
- 尿中の尿酸が増えると結石形成や腎障害のリスクになる
- 腎機能が低下すると薬が効きにくくなる
そのため、腎臓障害がある場合は原則として尿酸生成抑制薬が使用されます。尿酸生成抑制薬はアロプリノールかフェブキソスタット、トピロキソスタットがあります。
フェブキソスタットは腎障害があってもより安全に使用しやすい薬です。
アロプリノールは腎機能が低下していると重篤な副作用が起こるリスクがあがります。腎障害の程度で使用量が調整されます。
アロプリノールの腎機能別用量
腎機能 | アロプリノール投与量 |
---|---|
CCr 50 mL/分 以上 | 100-300 mg/日 |
CCr 30-50 mL/分 | 100 mg/日 |
CCr 30 mL/分 以下 | 50 mg/日 |
血液透析 施行例 | 透析終了時に 100 mg/日 |
腹膜透析 施行例 | 50 mg/日 |
CCr: クレアチニンクリアランス
『高尿酸血症のトリセツ』シリーズ
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