◻︎
【アルコールと健康】#5 アルコールと心臓・血管

コンテンツ
高血圧・心臓病のリスクを上げる

ライフスタイルと心臓病について検討した研究※1では、過度に飲酒をする人たちは顕著に高血圧と冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)のリスクが上がります。
飲酒をしていない人と比べると、わずかな飲酒でも高血圧と心臓病のリスクを上げることも報告されました。
そして、アルコール摂取量を減らしたり、やめることで血圧は下がることも示されています。
- 1: JAMA Netw Open. 2022;5:e223849
心房細動のリスクを上げる

アルコールの血中濃度が上がると心房細動が発生しやすくなることがわかっています。
アルコール習慣を見直すことで心房細動の頻度が減ることはよく経験されます。
心房細動と診断されている方は、アルコールをできるだけ飲まないようにしましょう。
ホリデーハート症候群(Holiday Heart Syndrome)
週末や休暇中にたくさん飲酒をすることで、胸部症状(動悸、息切れなど)が出現する症候群です。その症状の原因として心房細動が指摘されています。
アルコールを過量摂取した日や翌日に不整脈の症状がある場合は、心房細動が出ている可能性があります。医療機関で心電図を記録してもらいましょう。
心臓・血管に対する他の影響
- アルコール心筋症:アルコールを慢性的に摂取することで心臓の筋肉が傷んで、心臓の働きが落ちることがあります。アルコールをやめて改善することもありますが、機能が落ちたままのこともあります。
- 動脈硬化:アルコールやその代謝物はいろいろな細胞にダメージを与えます。動脈の細胞に影響し、動脈硬化が進むことがあります。
『アルコールと健康』シリーズ
基礎 編
-
【アルコールと健康】#1 アルコールの健康リスクとは
以前から、アルコールは飲みすぎると良くないが、多少ならむしろ良いと言われてきました。しかし、最近になって少しのアルコールでも飲まないよりも有害であることが示… -
【アルコールと健康】#2 アルコールの適量はゼロ?
アルコールはできるだけ飲まない! アルコールは飲まないことが最適で、飲むとしても20gを超えないこと! 厚生労働省は、「健康日本21」のなかでアルコールの量について… -
【アルコールと健康】#3 アルコールを減らす・やめるこつは?
アルコールを飲む習慣があり、毎回エタノールにして20gを超えるような量を飲んでいる方はぜひアルコールを減らしたり、やめたりすることにチャレンジしましょう。 お酒… -
【アルコールと健康】#4 アルコールの代謝と急性期の症状
アルコールの吸収と代謝 アルコールの吸収 アルコールは胃ではゆっくり吸収されますが、小腸に入ると一気に吸収されてアルコール血中濃度が上がります。そのため、空腹…
臓器 編
-
【アルコールと健康】#5 アルコールと心臓・血管
高血圧・心臓病のリスクを上げる ライフスタイルと心臓病について検討した研究※1では、過度に飲酒をする人たちは顕著に高血圧と冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)のリスク… -
【アルコールと健康】#6 アルコールと「がん」
アルコールと「がん」の関係 多くのアルコールを習慣的に飲んでいる方に、がんの発生が多いことがわかっています。そして、飲む量が多いほどそのリスクが高くなっていき… -
【アルコールと健康】#7 アルコールと肥満・メタボ
アルコールを飲むと太ることはよく知られています。 特にビール腹という言葉があるくらい、飲酒習慣がある方はお腹がぽっこりする傾向にあります。ぽっこりしたお腹は内… -
【アルコールと健康】#8 アルコールと肝臓
脂肪肝・肝炎・肝硬変 【アルコールによる肝臓の病気】 アルコール性脂肪肝 アルコール性肝炎 肝硬変 肝臓がん STEPアルコール性脂肪肝 アルコールにより肝臓でトリグリ… -
【アルコールと健康】#9 アルコールと膵臓
膵臓(すいぞう)は、胃の後ろにあり多くの役割を持つ大事な臓器です。以下に膵臓の役割を示します。アルコールは膵臓に炎症を引き起こし、膵臓の働きを低下させる恐れ… -
【アルコールと健康】#10 アルコールと「こころ」
アルコールの脳への影響 アルコールは脳の働きに影響する 脳は大きく下記のように分けられ、それぞれに重要な機能があります。 大脳皮質:理性をつかさどる 大脳辺縁系… -
【アルコールと健康】#11 アルコールの未成年・胎児への悪影響
未成年への影響 20歳未満の人はお酒を飲んではいけません 日本の法律『未成年者飲酒禁止法』にて20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。それは、身体的・精神的な発…