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【たばこの真実】#4 加熱式たばこの落とし穴

たばこと言えば乾燥させたたばこの葉を紙で巻いて、火をつけてフィルター越しに吸う紙巻きたばこが一般的です。
最近では煙がでない加熱式タバコ(電子タバコとも呼ばれる)も多く流通しています。
この加熱式タバコ、「煙が出ないから安全」「ニオイが少ないから無害」と思っていませんか?
実は加熱式たばこにも健康リスクがあり、完全に安全ではありません。今回は、その理由を医学的・科学的な視点から解説します。
加熱式たばこの仕組みと特徴

加熱式たばこは、使い捨てのたばこスティックを専用のカートリッジに挿入します。
加熱式たばこは、紙巻きたばこのように燃やさず、200〜350℃で加熱し、蒸気(エアロゾル)を発生させる。
ニコチンを含み、依存性は紙巻きたばこと同等です。
煙ではなく蒸気なので見た目や臭いが少ない。
日本では、加熱式たばこを「電子タバコ」と呼ぶことがあります。
しかし、本来の電子タバコとは、ニコチンなどのたばこの成分を含む液体を加熱し、蒸気(エアロゾル)として吸い込む装置のことです。
このタイプの電子タバコは海外で販売されていますが、日本では販売されていません。
- 国内では、ニコチンやタールが含まれていないリキッドを加熱して吸うものが発売されています。こちらは、厚生労働省が施行した「改正健康増進法」の規制対象外ということです。
「煙がない=安全」ではない理由
有害物質は依然として含まれる
加熱式たばこは煙がもくもくでないので、なんとなく有害物質が少なそうに見えます。加熱式たばこ(IQOS)と紙巻きたばこがどの程度有害物質に差があるのかを示した報告があります1)。
【加熱式たばこの主流煙に含まれる物質(紙巻きたばことの比較)】一部抜粋
分析された化合物 | 紙巻きたばこ比較した割合 | 作用 |
---|---|---|
ニコチン | 84% | 中毒性、心血管に悪影響 |
一酸化炭素 | かなり低い | 酸素の取り込みを低下させる |
ホルムアルデヒド | 74% | 刺激性、発がん性 |
アセトアルデヒド | 22% | 刺激性、発がん性 |
1)JAMA Inter Med. 2017;177:1050
上記の表のように中毒性の原因となり、心血管に悪影響を及ぼすニコチンは紙巻きたばこの84%も含まれます。
その他の有害物質も測定上は低くなっていますが、明らかに有害です。
加えて、これまで測定されていない未知のリスクが潜んでいる可能性があります。加熱式たばこを長期間使用した場合に生じる病気については、まだ多くのことが分かっていません。
加熱式たばこの受動喫煙はある
加熱式たばこは目に見える煙はありませんが、受動喫煙はあります。加熱して発生したエアロゾルを吐き出すことで受動喫煙になります。
煙が出ないと言っても、子供や妊婦さんの近くで吸うのはやめましょう。また、公共の場での喫煙は紙巻きたばこと扱いは同じです。
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